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第34回 追突されるドライバーの共通点
「事故をしないのがプロドライバー」ではなく「確認をするのがプロドライバー」だと思います。
これは、多くの運送会社でドライバーを対象に添乗指導を担当してきた経験から感じたこと。
そして、ひとりとして同じ運転行動は無いということです。
特に「確認のやり方」と「判断の基準」には、大きな差が見受けられます。
運転免許証を取得するために通ったであろう自動車教習所では、同じことを学んでいたはずなのに・・・。
自動車教習所に通った日から遠ざかるほど、我流の運転になりやすい傾向です。
また、「運転マナーが悪い→交通違反が多い→事故の発生率が高い」とも言えます。
何度か追突されたことがあると言うドライバーに添乗すると、その理由が一目瞭然。
それは「自分の意思を周囲に発信するのが遅い」こと。
たとえばハンドルを切りながら方向指示器を作動させる行動。
前方で渋滞が予測される場合でも、カーブを曲がり切った場所で停車したり、渋滞の最後尾に停車しているのにハザードを点滅させなかったり、など。
進路を譲ってくれた相手にハザードを点滅させないことも“悪い特徴”のひとつ。
“悪い特徴”としてはクラクションを必要以上に多用する威嚇運転も挙げられます。
後方へ注意を促すポンピングブレーキは、車高が高いトラック乗務時における事故に遭わない必須手段です。
運転している人の意思を周囲に知らせることは、言葉を使わずに車同士で会話をするようなイメージです。
何度も事故に遭うドライバーは「自分主観」になり過ぎて、周囲への配慮が足りないことが多いのが共通点です。
そして、「事故をされた」「被害者だ」との認識が強すぎて、反省が無いので改善も無く、走行距離(道路の上にいる時間)が長いほど、追突されるなど繰り返し事故に遭うようです。
そのような場合には、互いに「ゆずり合い運転」ではなく、こちらが「ゆずる運転」を指導しています。
「交通事故に遭わないドライバーは交通事故を起こさない」
これは防衛運転を勧める時に使う言葉。
「エコドライブにより燃費が良いドライバーは安全運転をしている」のと同じ原理です。
添乗指導で個々の運転行動を観察すれば「過去の事故」が見えて「未来の事故」が想像できます。
未来の事故を防止するために「悪いクセ」を「良い習慣」に変えるのが私たちの役割です。
最後に、長年トラックに乗務しながら今まで事故をしたことがないドライバーの運転行動は、大きく分類すると下記の2タイプ。
・周囲への気配りができている(必然型タイプ)
・周囲が気配りしてくれている(偶然型タイプ)
他力本願ではなく、自力で安全を高めてほしい。
他力本願では、生涯走行距離が延びれば交通事故の生涯発生率が高くなります。
安全管理以上の安全指導で、「事故は偶然」ではなく「安全を必然」に変えましょう。
ありがとうございました。
次回は10月3日(金)更新の予定です。
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