第67回 「ミドルアップダウン・マネジメント」の実践

今回は、現在いくつかお手伝いをさせていただいている中堅企業様のミドルマネージャーの皆さんとやり取りをする中で感じていることを通じて「ミドルアップダウン・マネジメント」の実践におけるポイントを考えてみたいと思います。

「ミドルアップダウン・マネジメント」の実践

皆さん、こんにちは。
今年も暑い夏を迎え、子供たちは夏休みを迎えたようですが、ビジネスパーソンにとっては体力的に最もキツイ季節ですね。

今回は、現在いくつかお手伝いをさせていただいている中堅企業様のミドルマネージャーの皆さんとやり取りをする中で感じていることを通じて「ミドルアップダウン・マネジメント」の実践におけるポイントを考えてみたいと思います。

「ミドルアップダウン・マネジメント」とは?

2008年に「最も影響力のあるビジネス思想家トップ20」に日本人として唯一ランクインしたことでも知られる野中郁次郎氏と竹内弘高氏の共著として1996年に出版された「知識創造企業」は、組織論のバイブルのような位置付けの書籍として有名です。その中で、「暗黙知と形式知」や「SECIモデル」といったナレッジマネジメントの骨格になる理論が提示されていますが、「ミドルマネージャーは事実上、知識創造企業の真のナレッジエンジニアであり、トップとボトム、並びに理論と現実の間のまとめ役としての役割を果たし、イノベーションにおいて主要な役割を担う」としています。

また、従来からある「トップダウン型マネジメント」や「ボトムアップ型マネジメント」では組織的知識創造に必要な相互作用を促すことはできないと指摘しています。

そして「ミドルアップダウン・マネジメントを採用せよ」と提唱しています。

現実の会社では……

ところが、実際に私が接しさせていただいている企業のミドルマネージャーの方々の多くは、本来の「トップの目線と現場の社員の意識の結節点」としての役割を担うというよりも、「トップの目線と現場の社員の意識の差のジレンマ」に苦しんでいることの方が多く見受けられます。

この結節点でのミドルマネージャーの翻訳能力がかつての日本企業の強さともいわれた訳ですが、この部分に対する「諦め」や「傍観者」的姿勢が「自分は与えられた範囲の仕事をするだけ」という意識になってしまっているケースが散見されるように思います。

なぜ、このような状況が起こってしまうのでしょうか……。

トップマネジメント層の理解と言動のギャップ

もちろん、当のミドルマネージャーの方々の「当事者」としての強い意識が求められることは言うまでもありません。

ただ、これまでのその企業での組織としての意思決定プロセス、過去のチャレンジに対する扱いや評価といった組織文化の中で積み重ねてきた歴史が、彼らをそうした思考性にさせてしまってきたという負の側面は否定できないのも事実だと思います。

私が担当させていただいている企業のいくつかは「ミドルマネージャーが育っていない・ミドルマネージャーの意識改革を」というリクエストを受けているケースがありますが、そもそも、トップマネジメント層のそうした認識そのものが、彼らの思考性を萎縮させてしまっている要因の一つではないでしょうか。

つまり、「トップマネジメント層を担う方々の認識そのもの」を自ら振り返るプロセスが欠落してしまっているのかもしれません。

トップダウン型が機能しなくなっている状況を理解し、またミドルマネジメント層に期待しているが故に「ミドルアップダウン・マネジメント」を標榜し、前述の発言をしてこられる訳ですが、実際のマインドセットは「トップダウン型意識」から脱却しきれておらず、実はそのことをミドルマネジメント層の方々は肌で感じてしまっているということではないでしょうか。

「指を自分に向ける」という言葉がありますが、「ミドルアップダウン」を実践したいのであれば、実は変わるべきは、トップマネジメント層の方なのかもしれませんね。

今後とも、よろしくお願いいたします。

次回は8月23日(水)更新予定です。

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この記事の著者

株式会社大塚商会 トータルソリューショングループ TSM支援課

三宅 恒基

1984年大塚商会入社。コンピューター営業・マーケティング部門を経て、ナレッジマネジメント・B2Bなどビジネス開発を担当、2003年から経営品質向上活動に関わる。現在は、業績につながる顧客満足(CS)を志向した「価値提供経営」と共に、組織風土・人材開発・自律性育成テーマでの企業支援、セミナー・研修講師などに携わる。

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