テレワークの勤務場所は、自宅に限らず、移動中や出先のサテライトオフィスなども含まれます。ICT(情報通信技術)の発達により、オフィス外で働くテレワークという働き方が多くの業種で可能になりました。
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テレワーク導入で生産性は向上する? テレワークの現状や生産性を上げる工夫をご紹介
働き方改革や感染症予防の一環で、会社に出勤せずに働く「テレワーク」という働き方が一般的になりつつあります。一方、依然としてテレワークの導入をためらっている企業もあるのではないでしょうか。
テレワークの導入における懸念点の一つとして、「生産性の低下」が挙げられます。そのため、環境的にはテレワークの導入が可能であるのにもかかわらず、見送っているという企業も少なくありません。
そこでこの記事では、日本におけるテレワーク導入の現状や生産性を上げる方法などをご紹介します。
テレワークで生産性は下がったのか、それとも上がったのか
働き方改革の推進と感染症の流行に伴い、企業におけるテレワークの実施率は上がっています。総務省の「令和3年通信利用動向調査の結果」によると、テレワークを「導入している」と回答した企業は51.9%と、前年調査から4.4ポイントの増加となりました。また「導入予定がある」と回答した企業は5.5%いました。
またテレワークの導入目的は「新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため」が90.5%と最多でした。
テレワークについて、「環境が変わることで生産性が低下するのではないか」と考える方もいるのではないでしょうか。
総務省の「平成30年版 情報通信白書 テレワークによる働きやすい職場の実現」によると、労働生産性の向上を目的としてテレワークを導入した企業のうち、「非常に効果があった」と答えた割合が28.5%、「ある程度効果があった」と答えた割合が53.6%と約80%が生産性に効果があったと回答しています。
その一方で日経BP総研イノベーションICTラボによる「新型コロナ対策テレワーク実態調査」では、生産性が下がったと答えた割合が60%以上で、生産性が上がったという割合は12%となりました。
また、Adobeが2020年9月に実施した米国と日本の労働者を対象にしたオンライン調査では、在宅勤務を経験した日本の労働者の約40%が「在宅勤務は生産性が下がる」と回答しました。
このように調査によって結果が異なるのは、新型コロナ感染症が流行する前と後に行われた違いがあるためだと考えられます。
感染症が流行した際に半ば強制的にテレワークに移行した企業が多く、それらの企業は準備不足のため生産性が上がらなかったと推測できます。
総務省「令和3年通信利用動向調査の結果」(総務省のPDFが開きます)
総務省|平成30年版 情報通信白書|テレワークによる働きやすい職場の実現(総務省のWebページが開きます)
テレワークで生産性は下がったのか?3000人が明かした本音 | 日経クロステック(xTECH)(日経クロステックのWebページが開きます)
アドビ、グローバル調査「COVID-19禍における生産性と在宅勤務に関する調査」を発表(Adobe BlogのWebページが開きます)
テレワークで生産性の向上が狙える業務
テレワークで行う業務は、1人で進められること、セキュリティ面の問題がないこと、成果が目に見えることが必要条件です。
例えば、パソコンやモバイル端末などを使用するデスクワーク業務はテレワークに向いています。特に、データ入力や資料作成、ライティング、Webデザイン、プログラミングなどはテレワークを導入しやすい分野です。
これらの業務であれば、通勤時間の削減や家事・育児との両立、感染症予防などのメリットを享受しつつ、問題なくテレワークを導入できるでしょう。
一方、職場の設備を頻繁に使ったり人と積極的に接したりする業種、また、現場仕事が基本の職種はテレワークの導入に一工夫が必要です。
実際に、総務省による2021年の調査によると、テレワーカーの割合が最も多い業種は「情報通信業」(97.7%)で、次点に「金融・保険業」(82.4%)が挙げられています。一方で、テレワーカー率が低い業種は「運輸・郵便業」や「サービス業・その他」です。
また、国土交通省による「令和4年度テレワーク人口実態調査」によると、職種別では「研究職」「営業」「管理職」「専門・技術職(技術職)」のテレワーク利用率が高く、「サービス」「販売」「保安、農林漁業、生産工程・輸送・機械運転・建設・採掘・運搬・清掃・包装等従事者」などはテレワーク利用率が低いという結果が出ています。
テレワークが抱える課題と生産性を向上させる方法
テレワークは現代に適した働き方であり、うまく活用できれば通勤の手間やオフィス維持のコスト、ウイルス感染の危険性などを低減できます。
ただし、オフィスと異なるテレワークの独特な環境下で効率を落とさずに働くためには工夫が必要です。ここでは生産性の課題と解決方法を見ていきましょう。
テレワークの生産性に関わる課題
テレワークの導入により、生産性が向上する企業がある一方で、低下したという事例も一定数存在します。運用を工夫することで生産性を上げることは可能ですが、まずはあらかじめリスクを把握しておくことが重要でしょう。
テレワークで生産性が下がる主な原因は以下のとおりです。
コミュニケーションが取りづらい
テレワークでは仕事を行う環境がそれぞれ異なるため、都度ビデオ通話やチャットなどを使用して連絡を取る必要があります。直接的なコミュニケーションが減るのはもちろんのこと、気軽に話せなくなることでチームワークにも影響が出る可能性があります。
業務管理が難しい
各社員が別の場所でバラバラに働くため、始業や終業などのスケジュール管理や業務の進捗(しんちょく)管理が難しくなります。
社員にとってもオフィス以外の環境では集中しづらいことが多く、業務時間が長くなったりスケジュールが乱れたりすることが起こり得ます。また、社員の成果をすぐに把握できないことも多く、適切な評価を行いづらくなる場合もあるでしょう。
仕事に集中できない
オフィスにいるときは業務に集中できますが、在宅などでは周囲の目がないため仕事に身が入らなくなってしまいがちです。
抑止力が働かないため、勤務中についスマートフォンを触ってしまったり、SNSを見てしまったりするなど、業務以外のことに注意がそれてしまうことがあります。
評価制度が生産性低下の理由であることも
業務の生産性が下がるのは、テレワーク下の環境によるケースもありますが、評価制度が課題となっているケースも見受けられます。
テレワーク導入前には、上司が直接部下の働きぶりを見ることで、業務のプロセスをもって定性的に判断する余地がありました。
しかしながら、テレワークを導入すると業務のプロセスを直接確認することが難しくなり、結果による定量的な評価を行わざるを得なくなります。
ところが、結果を定量的に評価する仕組みが整っていない場合は、意図せずして従業員がサボってしまう状態となっていることもあります。
評価者のみならず、従業員が自身の仕事を定量的に評価できる仕組みを整えることが、生産性の向上をもたらすのです。
テレワークで生産性を上げる方法
テレワークには生産性を低下させるリスクがありますが、適切に対策すればそれを防げるだけでなく、生産性の向上も図れます。
コミュニケーションに対する対策
コミュニケーション面の対策として、社員やチーム同士で頻繁に連絡を取るように心掛けましょう。業務に適したITツールを導入して連絡頻度を意図的に増やすと、ちょっとした質問や雑談などもしやすくなります。
担当業務の終了時にビデオ通話で報告をするなどのフローを構築すれば、コミュニケーション量の増加とあわせて業務の質を向上させることにもつながります。
業務管理の対応策
スケジュール管理を容易にするには、ビデオ通話で朝礼を実施するのも効果的です。ほかの社員と顔を合わせることで、モチベーションアップも期待できるでしょう。始業時間以外にも、昼食や休憩などの時間帯をオフィス勤務時と同様に設定すれば、生活リズムも調整できます。
また、勤怠管理システムを導入するのもよいでしょう。出退勤の記録以外にも、休暇の申請・承認・取得記録やシフト管理など、勤怠管理に関するあらゆる業務をサポートできます。
仕事に集中するための対応策
出社するときと同じ時間に起床し、同じ服を着ることで、気を引き締めるのが効果的です。
また業務に必要のないSNSなどの通知をOFFにすることで、集中力の維持につながります。
テレワークの生産性アップにおすすめのツール
生産性を落とさずテレワークのメリットを伸ばすには、ツールの利用がおすすめです。従業員にリモートのデメリットについてあらかじめ注意を促したうえで、自社に適したツールを活用してテレワークを始めましょう。
以下では、テレワークの生産性向上に効果的なツールの種類と導入時の注意点、おすすめのツールをご紹介します。
ITツールを使いこなして生産性を上げる
テレワークの生産性を高めるには、ITツールの導入が必須となります。
社員同士のコミュニケーションのためには、Web会議システムやビジネスチャットを利用しましょう。また、勤怠管理システムやスケジュール管理ツールなどを利用すれば、勤怠管理がスムーズになります。
このように、ITツールを適切に選んで活用すれば、テレワークの大きな課題である情報共有のしづらさを改善できるでしょう。
ただし、テレワークの生産性を上げるには、上記のようなITツールをただ選んで導入するだけでは不十分です。ITツールを使う社員が、積極的なコミュニケーションを心掛けることが欠かせません。
ITツールの導入と並行して、ITツールを有効活用するためのルールを社内に周知することを忘れないようにしましょう。
生産性を上げるためのおすすめツール
テレワークに役立つITツールは各分野で多数提供されています。どれを使えば良いか分からなくなるかもしれませんが、それぞれの特長を理解して自社に適したものを選びましょう。
以下ではツール選択のヒントとして、幾つかおすすめのツールをご紹介します。
cyzen(サイゼン)
レッドフォックスが提供している営業支援ツールです。スマートデバイス専用のクラウドサービスで簡単に導入・利用でき、社外から顧客情報の確認や報告書の作成を行えます。社内では、社員の状況をリアルタイムで確認することもできます。
カチャット(CACHATTO)
e-Jaネットワークスが提供しているリモートアクセスツールです。短期間かつ快適にリモート環境を構築でき、さまざまな端末から業務リソースへの安全なアクセスを可能にします。端末に閲覧情報を残さずに業務システムにアクセスでき、セキュリティの面でも安心です。
Microsoft Teams
Microsoft社が提供しているコミュニケーションツールです。チャットやWeb会議、ファイル共有など多くの機能を利用できます。遠隔での会議・顧客対応・部署間連携などさまざまな用途に使え、新機能も頻繁に追加されています。
LINE WORKS
スマートフォンでのコミュニケーションツールとして広く利用されている「LINE」のビジネス仕様版です。日常的に使い慣れているLINEをベースにしているため使い方を会得しやすく、高い安全性や多くの機能追加によりビジネスの場面でも問題なく使用できます。
テレワークの生産性を高めたい方は大塚商会へ
テレワークはこれからの時代に欠かせない働き方です。新しい環境でも従来以上の生産性を確保できるように、継続して工夫を凝らす必要があります。
テレワークで生産性を上げるにはITツールの利用がおすすめです。うまく活用すれば、社員コミュニケーションを円滑にして、スムーズな業務遂行を実現させることができるでしょう。なお、ITツールを選ぶ際には、それぞれの特長を把握して自社に適したツールを選ぶことが重要です。
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