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第2回 運送業の業務効率化の第一歩
運送業が2024年を迎えるまでに行っておく必要がある業務効率化策について解説するにあたって、まずは「業務効率化」とはどういうことを指すのか確認します。
運送業の業務効率化の第一歩
第一回は運送業の2024年問題についてまとめました。今回のコラムから、運送業が2024年を迎えるまでに行っておく必要がある業務効率化策についてまとめていきたいと思います。その前に「業務効率化」とはどういうことを指すのか確認しておきます。
業務効率化を定義する
さて、業務効率化はこの着眼点で考えることができます。
- 排除(Eliminate)……その仕事自体をなくす
- 結合(Combine)……複数の仕事を一緒にやる
- 代替(Rearrange)……他のやり方でやる
- 簡素化(Simplify)……業務設計からやり直す(システム化)
この四つの着眼点のことを英語の頭文字をとって「ECRS」と呼びます。
日々発生している業務をこの四つの着眼点から見直し、一人あたりの処理量を増やすこと、このことを「業務効率化」として定義したいと思います。
ちなみに、E→C→R→Sの並びには意味があり、この順番で業務を見直していくと業務改善・業務効率化が上手くいくといわれています。
「E(排除)」の観点から見ると、業務には、
- やらなければいけないこと/やらなくてもいいこと
- 今やるべきこと/後でやるべきこと
- その人がすべきこと/他人がやったほうがいいこと
などに仕分けすることができます。
当然、やらなくてもいいことはやめたほうがいいですし、後でやるべきこと(月末に一回だけやればいいことなど)は本日の業務に支障がでないのであれば、時間をかけてやらなくてもいいでしょう。
またその人がやるより、一連の流れを確認してみるとほかの人がやったほうがいい場合もあります。
そういった観点で業務を見直すことから入るとよいでしょう。
「郵送」から「メール添付」に切り替える業務効率化の例
例えば最近はやりの業務効率化で、請求書を「郵送」から「メール添付」に変えるということがあります。これは先程の着眼点でいうところの「代替(Rearrange;R)」にあたります。
請求書を印刷する、折りたたむ、封筒に宛名を記入する、(切手を貼る)、封入封緘する、ポストに投函するという工程が全てなくなるわけですから、なかなか大きな業務効率化です。 全てを変えるのは無理だとしても、本来無理だと思っていたことが、やってみたら意外と変えられた、なくせたという事実は強いモチベーションになります。
「相手があることだから無理だよ」といって却下されていた上記のような提案も、DX化、デジタル化の波にのって、相手方も受け入れやすくなっているようですから、今、やらない手はないでしょう。
運送業での業務効率化を考える
この観点を運送業特有の業務に置き換えて見るとどうでしょう。
運送業の事務所業務の代表格は配車業務です。
(1)荷主・同業者からの依頼対応(受注業務)
(2)車輌手配・配車(交渉業務)
(3)協力会社への連絡(連絡業務)
(4)ドライバーの状況確認(確認業務)
大きな流れはこの四つになると思いますが(もちろんほかにもありますがここでは割愛します)、どこが業務効率化できそうでしょうか?
一つの問題提起として掲げると、運送業の業務は、人と人のコミュニケーションによる業務が多く、電話での対応が多いことが特徴です。つまり個人対個人の業務が多いため、その回数が多いほど時間が多くかかり、電話の回数を減らすことができるかどうかが効率化の観点になりそうです。相手と話さずに業務が成り立つかどうかを検討してみましょう。
(1)~(4)を見ていくと、
(1)についてはメール発注、大手荷主からはEDI発注なども業務の中に浸透してきました。これはこの流れに乗ってデジタル受注を増やしていきましょう。
(2)は協力会社さんとの交渉がメインになりますから、今後も電話コミュニケーションが続きそうです。
(3)は連絡が主の業務ですから、連絡フォーマットが決まっていれば簡素化できそうです。
(4)は電話の大半を占める業務といわれています。ドライバーの位置と状況を確認し、次の配車を行うために、配車係は正確な情報を必要とします。そのため電話コミュニケーションが多くなるのですが、これはいわゆる車輌動態管理システムを導入することで確認のための電話の量を大幅に減らすことが期待できそうです。
業務効率化を考えるとき、それをやることで何がなくなるのか、これが明確になっていると大きな成果が得られます。
次回は8月6日(金)更新予定です。
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