ITとビジネスの専門家によるコラム。経営、業種・業界、さまざまな切り口で、現場に生きる情報をお届けします。
第153回 挨拶する人と確認する人
接客時の挨拶と運転中の確認には多くの共通点があります。どちらも欠かすことができないものと誰もが認識しつつ、周囲の状況や自身の状態により、やることを省いたりやり方を略したりする傾向にある点が似ています。
挨拶する人と確認する人
接客時の挨拶と運転中の確認には多くの共通点があります。
挨拶も確認も、そのやり方は無数にありつつ、どちらも法令の対象外です。
挨拶を欠くと無礼になり、確認を欠くと無事ではいられなくなります。
どちらも欠かすことができないものと誰もが認識しつつ、周囲の状況や自身の状態により、やることを省いたりやり方を略したりする傾向にある点が似ています。
挨拶も確認も「動きを止めて行う」点も似ています。
「ながら挨拶」や「ながら確認」は横着な行動です。
他にも「対象になる相手を見て行う」ことや「声や動作を大きく実施する」ことも共通点であり、挨拶が苦手な人は確認も苦手な人が多いことも、トラックドライバー専門の添乗指導員からみた共通の印象です。
体調と感情の低下により、安全では確認が低下して、品質では挨拶が低下します。
体調が低下すると、周囲への気配りができなくなります。
感情が低下すると、周囲への気配りをやらなくなります。
安全にも品質にも周囲への気配りが必要であり、体調と感情を整える健康への取り組みは
安全と品質にも不可欠といえます。
客先においては、心身のコンディションやバランスが少々思わしくなくても「普段の姿を演じる」ことが、社会人以上のプロのドライバーとしてのあるべき姿です。
だからこそ出発前の点呼では、ドライバーの挨拶のやり方からも些細な変化に気づいて、「ひとりで接客と運転を任せられる状態であるか」を確認することが重要です。
「先に挨拶・笑顔で挨拶・大きな声と動作で挨拶」など、ドライバーが出発前に発する挨拶のやり方には体調と感情の状態が凝縮して表現されており、ドライバーの事故やクレームの発生を予見して対処する点呼の要点と言えます。
体調や感情の状態を問わず、日頃から「プロのドライバーとして提供すべきマナー」を逸脱しているドライバーがいるならば、安全や仕事への考え方の相違や、健康を阻害する要因があることが想定されます。
また、ルールから逸脱した行動とは、自身が周囲への関心がなくなった時や、自分がひとりで仕事をしていると感じる時に発生しやすい傾向です。
仕事とは場面的にひとりでも、お客様や同じ仕事をする仲間が必ず存在しています。
たとえば運転室の中はひとりの世界ですが、道の上には同じ時間帯に同じ方向へ向かいながら何分も並走したり追走している他の運転者が多数いるものです。
帰社後の点呼では、周囲から「自分がどのように思われているか?」と振り返る会話と、「自分がどのように思われるべきか?」を考える時間により、自制心を高めることも効果的です。
「どのように挨拶や確認をするのか?」などの技術を教える前に「なぜ挨拶や確認をするのか?」との問いから意味や目的を共有することで、納得感が増して自主的な行動を促すこともできます。
ありがとうございました。
次回は8月2日(金)更新予定です。
前の記事を読む
次の記事を読む