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第93回 観よう・聴こう・言おう
運送会社の管理者に「どんな運送会社にしたい?」と質問をすると「安心して働ける運送会社」や「人材育成ができる運送会社」との回答をいただきます。
観よう・聴こう・言おう
運送会社の管理者に「どんな運送会社にしたい?」と質問をすると「安心して働ける運送会社」や「人材育成ができる運送会社」との回答をいただきます。
その“理想の運送会社”に近づけるために。
「ドライバーが安心して働ける上司」や「ドライバーを育成できる管理者」を目指しましょう。
ドライバーの安心には安全が不可欠であり、ドライバーを育成するのは安全の教育から。
ドライバーの「良いことは感謝」をして社内で広めて、「良くないことは指導」をして社内を律することが管理者の役割です。
ドライバーから「○○さんのためなら頑張れる」と思われる管理者になるために。
ドライバーに、業務の報告や連絡ばかりを求めるのではなく。
ドライバーから雑談も話せる関係であれば、おのずと相談がしやすい関係になります。
雑談を使って、入社一年未満ドライバーの交通事故を防止する方法があります。
雑談を使って、採用面接の段階で交通事故を防止する方法があります。
ことわざのひとつに「見ざる・聞かざる・言わざる」があります。
このことわざは、自分にとって都合の悪いことや相手の欠点を見たり聞いたり言ったりしないよう、戒めの場面で使われることが多いようです。
管理者の場合は、時に「観よう・聴こう・言おう」。
客先では「お客様の心の表情を観よう・お客様の本音の声を聴こう・お客様に感謝の気持ちを言おう」。
社内では「現場を観よう・ドライバーの話を聴こう・前向きな意見を言おう」。
自社を客観的に観察して、職場の問題点を発見するまで探して改善すること。
1日ひとつ以上の改善を実施する以前に。
1日ひとつ以上の問題点を探し出すこと。
問題点を発見できなれば改善には至りません。
ドライバーが車内を点検するように、管理者は社内を点検しましょう。
出勤時・休憩時・退社時には、社内で施設の一回り点検をしましょう。
そこに誰かがいれば積極的に声を掛けて、1対1の会話をしましょう。
取り決めた月次の安全目標があるならば、掲示物だけでなく指示ではなく「質問を含めた会話」で伝えて確認をしましょう。
管理者が会話の中で質問を多用していると、ドライバーは「○○さんは自分たちの話を聞いてくれる」と感じて、些細なことでも報告・連絡・相談をしてくれるようになります。
安全に関する管理者の仕事とは、口うるさく仕事をすればするほどドライバーから「嫌がられる仕事」です。
しかしながら、ドライバーの安全や健康や幸せを誰よりも親身に願い、個々のドライバーに関心を持って愛情表現として厳しく接すれば、「嫌われる人」にはなりません。
ドライバーが正しいことをしていなくても「見ざる・聞かざる・言わざる」のごとく注意をしない管理者は、その時には「都合のいい管理者」と喜ばれます。
いつしか振り返った時には、ドライバーの記憶に残っていない「どうでもいい管理者」と思われてしまいます。
それはまるで、学生時代に「厳しく叱って指導してくれた先生」への敬意と謝意が、社会人になってから年々増していくかのように。
管理者として、何人のドライバーから「○○さんに育ててもらった」と名前を挙げてもらえるかが、管理者の器量を示すバロメーターです。
ありがとうございました。
次回は3月10日(金)更新予定です。
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