新渡戸文化中学校・高等学校教諭 芥 隆司(アクタ タカシ)

2024年4月5日公開分のClassRoomCLIPの番組サマリーをお届けします。

今週のClassRoomCLIPも、Zoomを使って収録しています。

番組サマリー

ClassRoomCLIP第19回目は、新渡戸文化中学校・高等学校教諭 芥 隆司(アクタ タカシ)先生にご登場いただきました。

身の回りにある『数学』をiPadで発見する

以前も10年くらい前に取材をさせていただきました。今は新渡戸文化中学校・高等学校にいらっしゃるとのことですが、何を教えていらっしゃいますか?

「教科は数学を継続して担当しています。なるべく生徒ごとに個別に最適化しながら教科書内容を教えるということと、数学を使って、ちょっと想像性を高めつつ、社会でどんな数学の生かし方があるのかとか、授業ではそういうことを問いかけています。」

何か例があれば教えてください。

「よく例に出すのは、放物線とは何か? と生徒に問いかけ、iPadのARとキーノートを使って、学校内で見つけた放物線の形状やそれに見立てられるものを解説してもらう。解説自体、素晴らしい作品としてでき上がりますが、最初に投げかけた「放物線とは何か?」という問いが目まぐるしく変わってくるのが面白いんです。最初は、『なんか中学校で習ったテストで出るやつ』とか、『敵』とか答えていたのが、『人間生活で美しい形を作るのに欠かせない曲線』なんて、哲学的に表現するようになったり。」

生徒たちが実際に写真を撮ってここに放物線があるよ、という例を実際に示すのですか?

「そうです。写真を撮ってきて、キーノートでそれを描画して、ここに放物線があると強調してもらう。その描画部分だけをARに移すんですよ。そうすることによって、ここにも、こんなところにも放物線があるなあ、数学って、実際に日常生活の中にあるんだ、ということが納得できるという感じでしょうか。数学は抽象度が高いから、それを自分の世界にどうやって落とし込んでもらうか、というのが大事だと思います。」

なるほど、微分積分なども日常生活で役に立つことが分かると自分の身になっていく感じがします。

「それは多いにあると思いますね。最初から数学を諦めている子どもも結構いるので、その子たちにちゃんと数学の授業の価値を与えたい。数学とは、すごくシンプルに言うと、なぜか? を問うたり、これをどのような場面で生かすのか? ということを考えたりする学問なんですよ。それをリアルに体験してほしいので、点数の良しあしよりもそっちの方が重要じゃないかと思っています。」

iPadを使えば数学嫌いの子どもたちにもワクワク体験を与えられる

iPadではどんなアプリを使われますか?

「クリップスやアイムービー、ナンバーズは数学だからよく使いますし、スイフトプレイグラウンズやARも使います。スイフトプレイグラウンズは、数学でも論証という単元があるのですが、なぜこうなる、とか、ここは同じ手法がループしている、とかいうことをリアルな肌感で感じてもらうために使っています。」

最後に、iPadを授業にうまく導入するコツを教えてください。

「数学ができないって思っている子たちにはやはり、できないものをできる状態にしてあげる。ペーパーテストだけではなくても、数学ってこういうふうに使えるんだって感じてもらうことが重要だと思うので、そういう体験をしてもらうときに正解を問わないような投げかけをして、それを動画にしてもらうとか。何か創造的にワクワクしてもらうっていうイメージで使ってもらったらいいんじゃないでしょうか。」

GUEST PROFILE

芥 隆司(アクタ タカシ)

新渡戸文化中学校・高等学校 数学科教諭、ラーニングデザインチーフ

数学でiPadを用いた社会的創造性を育む授業と、Challenge Based Learning(現実課題に基づく学習法)を実践し、自律して学び、社会に自走する生徒たちを支援する。2017年に Apple Distinguished Educator の認定を受け、講師や企画などの活動も始める。著書に『創造的な学びを実現する! iPadでつくる数学授業』(明治図書出版)ほか、共著やデジタルブックなどの出版がある。

  • *本記事中に記載の肩書や数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。

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