同志社国際学院初等部は2011年に開校した同志社大学附属の小学校です。授業全体の50%ほどを英語で教える日英バイリンガル教育と、IB・国際バカロレアの初等教育プログラムであるPYP(Primary Years Programme)に準拠した「探究型学習」を行っています。2019年1月には西日本初のPYP認定校となりました。
同志社国際学院初等部 荒谷 達彦
2020年9月18日公開分のTeacher's CLIPの番組サマリーをお届けします。
今週のTeacher's CLIPも、Zoomを使った収録でお送りしています。
番組サマリー
グローバル水準の探究型学習と一人1台のICT環境
低学年からiPadを使うことではぐくまれる情報活用スキル
ICT環境については、2014年度にiPadを導入して学校端末としての運用を進め、2018年度より4年生でiPad一人1台をスタートさせました。今年度で4年生から6年生全員が自分のiPadを所有し、1~3年生では100台の学校端末を貸し出す形で運用しています。全クラスに液晶プロジェクターと「Apple TV」を完備し、さまざまな授業で活用しています。
6年間の情報活用能力が試される「Exhibition」での発表
探究のプロセスと成果物の作成にiPadは不可欠な存在
「探究型学習」の授業では、インターネットを使った情報収集や整理、まとめや表現としてスライドショー、動画、レポートの作成など、探究型学習それぞれの段階で活用しています。ほかにも英語のリーディングやスペリング、算数の反復練習、取り組みの記録や振り返りとしても活用しており、子どもたちの学びになくてはならないものになっています。
6年生の最後には「探究型学習」の集大成となる「Exhibition」を行っています。児童が自らテーマを決めて探究型学習を進めるもので、ここ数年はブース形式で児童全員が一斉に発表、外部の方にも公開しています。探究のプロセスから発表までを主体的に進めるためには、6年間で積み重ねてきたICTや情報活用能力を最大限発揮することが必要です。
「iMovie」で探究のプロセスを動画にまとめたり、「Keynote」を使ってスライドショーやプロトタイプのアプリを作成したり、「Pages」でチラシを作って発表の宣伝をしたり。iPadの活用スタイルが児童によって多種多様なのも、6年間の積み重ねが生きている証拠だと言えます。
新型コロナによる一斉休校。すぐにオンライン授業が実現できた理由
普段からiPadアプリやブラウザー上で動くソフトを使った宿題を出していたこともあって、在校生の各家庭にオンライン授業が可能な環境があることは確認できていました。そのため4月中旬からは、授業支援アプリで授業動画を配信して課題提出する双方向のオンライン授業を実現できました。
ICTの活用によりコロナ禍においても学びを継続
また、新入生やiPadの操作に慣れていない児童のために、操作方法が分かる動画を作成し「YouTube」に限定公開でアップしました。保護者の皆さんの協力とサポートもあって、緊急事態宣言下でのオンライン対応も大きな混乱を招くことなく進めることができました。
6月に通常授業が再開されてからも、保護者面談を「Zoom」で行ったり、欠席連絡や宿題案内で授業支援アプリを活用したりしています。コロナで苦しい状況ではありましたが、ICTの新たな活用方法を見いだすきっかけになりました。また放課後の教職員会議や教員研修も「Zoom」で行うなど、日常の新型コロナ対策にもICTが活用されています。
これからの教員に求められる新たな役割とは?
一人1台の端末が導入されるとなると、インターネットで外とつながることに不安を感じる先生もいるかもしれません。iPadであればカメラで撮影して記録したり、プリインストールされているアプリを使った活動で学びのまとめをしたり、インターネットと接続しなくてもさまざまな活用が可能です。
また、Appleが出している「Everyone Can Create」というプログラムの電子ブックを読んだり、「Apple Teacher」のウェブサイトで基礎的な操作を学んだり、さらにはAppleから認定を受けたADEの先生が開催しているワークショップに参加したりと学ぶことのできる場もたくさんあります。
iPadを使い始めると児童の学びに対する興味や主体性が格段に上がります。それを積み重ねつつ、セキュリティやモラルの面を伝えることで、子どもたちが社会に出ても役立つ知識・理解の一つを身につけることができる。これも私たち教員に求められる新たな役割なのではないでしょうか。
番組視聴はこちらから
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GUEST PROFILE
荒谷 達彦(あらたに たつひこ)
同志社国際学院初等部
2019年1月に西日本初の国際バカロレアのPYP認定校となった同志社国際学院初等部に9年間勤務。2014年度にiPad導入後、3年間ICT担当として授業実践や教員の支援を重ねる。2017年度の6年生担任での実践をきっかけに、2018年度より4年生でiPad一人1台を開始。2018年度よりPYPコーディネーターに就任。2017年Apple Distinguished Educatorに認定。
- *本記事中に記載の肩書きや数値、社名、固有名詞、掲載の図版内容等は公開時点のものです。
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