一般社団法人オーガニックラーニング 江藤 由布

「人生の経営者を育てる」ための三つの柱とは？

二つ目は「オーガニックな組織経営」です。オーガニックな組織経営というのは、先生から生徒に一方的に教えるというトップダウンのヒエラルキー型経営ではなく、アメーバのように先生と生徒が一緒に学びながら成長していくことを目指しています。

三つ目は、「学ぶ喜び（生命力）を育てる」です。「生きる力」というのは文科省でも言っていますが、同じような意味合いだと捉えています。これらを伝えるために、各地での講演やオンラインセミナーを実施したり、ブログなどのオウンドメディアを通じて情報発信をしたりしています。

遅れる日本の教育を変えるために一般社団法人を設立

既にオセアニア地域の先生たちの中で話題になっていたのが「オーセンティックラーニング」でした。一方で日本の先生たちは日本人だけで寄り集まっている状況でした。私はタイの先生と同じ部屋で、海外のいろいろな方と交流するきっかけを得ました。やはり日本は東アジアでも少し遅れているし、世界レベルで言えばやるべきことがたくさんあると感じたのです。

私自身はプロジェクト型の多読や実験、物づくり中心のホームスクーリングで学びました。これを学校に少しずつ持ち込んでいったときに、自分のクラスに大きな変化が起こったのですが、学校内の変化だけではちょっと遅すぎるなと感じました。これが一般社団法人を作ろうと考えた理由です。

もう一つは、企業の方や農家の方などいろいろな方とやりとりをする中で、学校の人間として相対するよりも、ワンクッション置いた方がうまくいくことが多かったというのも設立を決めた理由です。ある意味、ノリで立ち上げてしまった一般社団法人とも言えます。

ICTで可能性が広がるオーガニックラーニング

「学びの窓」を我々教師が開く立場であるとすれば、紙と鉛筆よりもICTを活用してさまざまな道具を使うことが大切です。遮断された教室よりも「Zoom」などを使って学外とつながること、生徒たち自身が生み出すこと、メディアを作り出すこと、発信すること。ICTを使った方がより多様なことができますし可能性が広がると思います。

今こそ原点回帰！ ミッションに沿った取り組みへのシフト

今強く感じているのが「原点回帰」です。講演の依頼をいただく際にも、「ICT」とか「英語」にテーマを限定しないものが増えています。私自身も小さい枠の中で発信をしないよう心掛けてはいるのですが、ちょうど社会全体もそうなってきているのではないでしょうか。

ICTでも英語でも、既に先駆者と呼ばれる先生がたくさんいる中で、「しなやかなマインドセットを持った人を育てること」「学校と社会の学びをイコールにすること」「生徒と共に学ぶ姿勢を持った人と一緒に、人が育つような場を作っていくこと」が自分のミッションだと考えています。

考えてみれば、5年前にツイッターで発信する先生はほとんどいませんでした。当時は「アメブロ」がはやっていましたが、ブログをやっている先生も珍しい存在でした。いち教員としての取り組みはこれからも継続していきますが、これからはより大きなところにリーチしていけたらと思っています。

番組視聴はこちらから

江藤 由布（えとう ゆう）